鳥取県には、南部の県境沿いに中国山地が東西に広がり、日本海沿岸域に沿って、西から米子平野、倉吉平野、鳥取平野が分布している。県西部にそびえる大山は中国地方の最高峰(1,729m)であり、約20000年前まで活動を続けた火山で、裾野には火山性の堆積物や火山灰が広く分布している。県内の活断層をみると、鳥取平野の西部には、鳥取地震で地表にずれが生じた鹿野断層、あるいはそれに並走する岩坪断層が確実度の高い活断層として、ほぼ東西方向に走るように分布している。いずれの断層も北側が沈むような右横ずれ成分を持った断層である。大山の東麓や倉吉市の東方に南北方向に走る活断層が分布しているが、これらの活断層は短く、活動度も低いと推定されている。図8−18は、鳥取県の地形と主要な活断層を示したものである。
陸域の浅い地震としては、1943年の鳥取地震(M7.2)が知られている。これは鳥取平野のほぼ直下で発生した地震であり、鳥取市で震度6が観測され、大きな被害が生じた(詳細は8−2(2)参照)。この地震の半年前の3月4日、5日に鳥取地震とほぼ同じ場所で、いずれもM6.2の地震が発生した。鳥取地震の後には、この震源域で1983年10月31日にM6.2の地震が発生し、鳥取市で震度4が観測された。また、歴史をさかのぼると、この地域では1710年10月と1711年3月にそれぞれM6.5とM6 1/4の被害地震が発生している。
それ以外の地域における陸域の浅い被害地震としては、1925年の美保湾の地震(M5.8)、1955年の根雨地方の地震(M5.5)がある。さらに西方の鳥取県西部で1989年10〜11月に最大M5.4とする地震活動があり、小被害が生じた。また、被害は生じなかったものの、1985年6月から12月にかけて大山付近で最大M4.9の群発地震活動があった。さらに、1927年の北丹後地震(M7.3)などのように周辺地域で発生した地震によっても被害を受けることがある。
鳥取県では、南海トラフ沿いの巨大地震のなかで、四国沖から紀伊半島沖が震源域になった場合、地震動による被害を受けている。1946年の南海地震(M8.0)では、県内で死者2名や家屋全壊などの被害{26}が生じた。さらに、1983年の日本海中部地震(M7.7)の津波のように、日本海東縁部の大地震に伴う津波により沿岸域で被害を受けることもある。
鳥取県付近における小さな地震を含めた最近の地震活動を図8−19に示す。
表8−1 鳥取県に被害を及ぼした主な地震