(6)昭和58年(1983年)日本海中部地震(1983年5月26日、M7.7)
日本海中部地震は、男鹿半島沖から津軽海峡の西側にかけての広い範囲を震源域として発生した逆断層型の地震であった。秋田県・青森県の日本海沿岸を中心に強い地震動が生じ、秋田市、むつ市、深浦町では震度5が観測された(図4−33)。この地震により大きな津波が発生し、気象庁の現地調査によると津波の高さは秋田県八竜町で6.6mであった(図4−34)。また、東北大学工学部の調査では秋田県峰浜村で14mに達したことが報告されている{36}。震源域が陸域に近かったため、津波は早いところでは地震発生からわずか7分後に来襲{37}し、逃げ遅れた多くの人が犠牲となった。全体の死者104名のうち100名が津波による{38}ものであった。この地震による津波被害は広範囲に及び、山陰沿岸や朝鮮半島、沿海州などの日本海沿岸各地で被害が生じた(図4−35)。また、平野部などの砂地盤のうち、地下水位の高い地域の各所で、地盤の液状化現象が発生し、建物などの被害も大きかった(図4−36)。 余震活動を見ると、本震発生から約1ヶ月後の6月21日には本震の震源域の北端である津軽海峡の西の海域で、M7.1の最大余震が発生した。この最大余震により、青森市などで震度4、秋田市では震度3が観測され、小津波も発生した。余震回数は最大余震に伴い一時増加したが、全体的に見ると順調に減少した(図4−37、図4−38)。また、本震の震央付近では、同年5月14日頃から最大M5.0の地震を含む前震活動が見られた。
また、日本海中部地震によって、秋田県及び青森県の日本海沿岸から内陸部にかけて、地面が東西ないしは北西−南東方向に伸びるような地殻変動が観測された(図4−5B)。