東北地方の主な活断層は、これらの山地と盆地・平野・低地との境目や日本海沿岸に沿って、ほぼ南北方向に延びるように分布している。そのほとんどは活動度B級の逆断層であり、山側が高くなるような向きに動く活動をしてきた。これは、これらの活断層に東西方向に圧縮されるような力がかかっていることを示している。ただし、この地域の地殻変動を見ると、縮みよりも伸びが顕著な地域が多く、地殻変動の様式や度合いに地域性が見られ{7}、太平洋プレートの沈み込みによって単純に東西方向に圧縮されているわけではないと考えられる(図4−5)。北上高地や阿武隈高地は、古い岩石などが広く分布し、比較的安定した地質となっている。この地域は、地殻変動も比較的小さく、活断層も少ない。
陸域の浅い地震は、ほとんどが約15〜20kmより浅いところで発生している{8}。被害地震としては、明治以降では、1894年の庄内地震(M7.0)、1896年の陸羽地震(M7.2)、1900年の宮城県北部の地震(M7.0)、1914年の秋田仙北地震(M7.1:強首地震と呼ぶこともある)などが知られている。これらの地震のうち、1896年の陸羽地震は横手盆地東縁断層帯で発生し{9}、また、1894年の庄内地震は庄内平野東縁断層帯で発生した{10}と考えられている。しかし、1900年の宮城県北部の地震や1914年の秋田仙北地震に対応する活断層は見つかっていない。このように活断層が知られていない場合でも、大きな規模の地震が発生した例がある。もう少し古い時代の被害地震としては、1694年の能代付近の地震(M7.0)、1804年の象潟地震(M7.0)など、秋田県の沿岸部で発生した地震や、1611年の会津の地震(M6.9)、1766年の津軽の地震(M7 1/4) など内陸部で発生した地震が知られている。また、上述の地震より規模の小さいM6程度の地震は、活断層帯に限らず発生し、局所的に被害が生ずることがある。なお、活断層の活動間隔の多くは1,000年以上なので、そこで発生した地震が知られていなくても、地震が発生しないということを示しているわけではない。
また、東北地方のところどころで群発地震が発生することが知られている。発生する場所は、火山の周辺地域であることが多い。群発地震の規模は、ほとんどの場合M4程度以下であるが、まれにM5を超え、局所的に被害が生ずることがある。群発地震活動の期間を見ると、多くは1〜3ヶ月の比較的短い期間で収まるが、1年を超えた例も知られている。