1−6 調査結果の概要

1.文献資料調査から、横浜市南東部に基盤(先新第三系)が周辺より深い領域が存在すること、浅部の堆積層(上総層群)が横浜市域においてほぼ南西から北東にかけけて厚くなる傾向が確認された。

また、横浜市域の弾性波速度は概ね4〜5層構造であることが確認された。

2.既存人工地震データの再解析の結果、横浜市南東部において基盤深度が3500m程度の深い領域(金沢・神奈川・戸塚区東部など)が存在することが再確認され、新たに横浜市北部(都築・港北区)に於いても同様の深い領域が存在する事が判明した。

また、横浜市南部における4.8km/s層層厚が厚い地域(泉・金沢区など)と北東部における4.8km/s層層厚が薄い地域(鶴見区等)が確認された。今回新たに確認されたこととして、横浜市北部にも4.8km/s層が厚い地域(都築・港北区)が存在することが挙げられる。

3.高密度強震計ネットワーク観測記録を用いた解析の結果、地震によらず横浜市の南東部と北西部に走時遅れが大きい領域が存在し、中央やや西よりの地域では走時遅れが小さいことが判明した。P波及びS波走時を使用した解析の結果、横浜市南東部及び北部に基盤深度が3500m程度の深い領域が存在する3次元速度構造モデルによってこの傾向が説明されることが確認された。

4.微動アレイ探査の結果、微動アレイ探査の観測点全25点において位相速度分散曲線を求めることができ、大アレイ5地点については位相速度分散曲線から逆解析により1次元のS波速度構造を推定する事ができた。速度構造としては6〜7層構造であり、S波速度のコントラストの最も大きい深度は2〜4kmであり、その速度は1.4〜1.8km/sから2.6〜3.3km/sに大きく変化している。

5.上記調査結果をもとに作成した3次元速度構造モデルにより強震計ネットワークで観測されるP波S波走時をほぼ説明できることがわかった。