理論地震動の計算では、非弾性減衰効果に係るパラメータ、いわゆるQ値を考慮することが必要になる。一般にQ値の推定は容易ではないが、後述のとおり(5.4.5節)本調査では0.1〜2.0Hz程度の比較的低周波数(長周期)の地震波成分を用いて、比較的浅い構造(約2.0km深以浅)に対するモデルを検証するため、Q値の深度方向の変化は、解析結果には大きな影響を及ぼさない。一方、実際の地盤構造では深部になるほど圧密効果が高まると予想されるため、浅部から深部まですべての速度層が一律なQ値を有するとは考えにくい。そこで、本調査では経験式Q≒β/10(βはS波速度[m/s])によってQ値に深度方向の変化を与えることとした。