そこで、表層から地震基盤までを代表的な4種類の地質区分で層分けし、各層の出現深度(あるいは層厚)を定める。次に、各々の層に対して、前節5.3.1で求めた平均S波速度を当てはめる。すなわち、本節で得られる速度構造モデルは4層モデル(3層半無限モデル)である。もし、ある地点において存在しない地質区分が生じた場合、その地質区分に対応する層厚を0mとする。
以上の方針で作成した速度構造モデル(層厚を除く)は,次のとおりである。
[S波速度]
第1層(上部礫層) 0.42km/s
第2層(堆積層及び第三系上部) 1.04km/s
第3層(第三系下部) 1.78km/s
第4層(地震基盤) 2.94km/s
上記の速度構造モデルの特徴は、第三系相当の地質層の上部と下部とで、S波速度が大きく異なることである。
本節で述べた速度構造モデルの作成には,調査地域全域にわたる詳細な地質分布への理解を前提とする。したがって、次節で述べる物理探査結果のみを参照するモデル作成方法とは異なり非常に煩雑な手続きを必要とするものの、調査実施地域以外への適用は比較的容易である。
図5−3−2に反射法地震探査(屈折法地震探査)測線付近のS波速度モデルを示す。なお、このS波速度モデルは地質モデルが125mメッシュで作成されていることから、任意の地点でのS波速度構造(4層)を知ることができる。