(2)補助データの作成

前掲図5−2−1−1に示したように、ボーリングデータは41孔も存在するものの、比較的短尺で地域的に偏在している。さらに、ひとつのボーリング孔ですべての地層を確認できているわけではなく、ひとつの地層当たりのデータ数は非常に少なく、そのまま機械的に空間補間を行うと地質学的に妥当性のあるモデルができない。そこで、海野(1991)の地質断面図や等層厚線図を参考にして、地層のトレンドを規制する補助線を作成した。また、隣接したボーリング孔で分布する地層が異なる場合は、層序や地形あるいは前述した基盤上限面の形状を参考にして、適宜、補助データを追加した。図5−2−2−3に補助データの追加事例を示す。同図ではNo.1孔で確認された黒富士層(KU)が隣接する7孔で欠如しており、このまま空間補間を行うと7孔の下部礫層(lg)中を黒富士層が「通過」してしまうため、補助線を加えて地層のトレンドを制御している。

なお、地層が欠如することなく累積していればある地層の下限面は下位の地層の上限面と一致する。その場合、下限面か上限面のどちらかをモデル化すれば良いが、実際の堆積盆地では、地層が欠如せずに累積していることは少ない。このような場合、すべての地層をモデルとして規定するにはそれぞれ下限面と上限面を作成する必要がある。ところが、上限面と下限面を個別に作成するとデータ点数の差異から空間補間の結果が少ずつ異なるため、本来一致するはずの上位層の下限面と下位層の上限面が一致しない状態が生じる恐れがある。そこでこれを回避するために図5−2−2−4に示す手順でモデルの作成を行った。具体的には地形面を基準面として、地層境界下限のデータのみを用いて層序の新しい順番に面を切り出していくことにより、上位層の下限面と下位層の上限面を作成した。