P波速度区分では前述したように反射法地震探査結果、屈折法地震探査結果から4層に
区分されたが、微動アレー探査結果から求めたS波速度は6層に区分される。微動アレー探査の中心部分が反射法地震探査(屈折法地震探査)と同一の地点のものは東西測線で実施したK1地点、K2地点、K3地点がある。それらで得られた速度層区分、層厚は次のとおりである。
S波速度層区分:
@ 第1速度層:410〜470m/s(上部礫層・韮崎岩屑流)
A 第2速度層:690〜760m/s(中部礫層・黒富士火砕流・下部礫層相当層)
B 第3速度層:1050〜1060m/s(中部礫層・黒富士火砕流・下部礫層相当層)
C 第4速度層:1220〜1480m/s(新第三紀相当層)
D 第5速度層:1220〜1880m/s(新第三紀相当層)
E 第6速度層:3060〜3070m/s(花崗岩相当層:地震基盤)
層厚:
@ 第1速度層:50〜150m程度(上部礫層・韮崎岩屑流)
A 第2速度層:400〜450m程度(中部礫層・黒富士火砕流・下部礫層相当層)
B 第3速度層:200〜550m程度(中部礫層・黒富士火砕流・下部礫層相当層)
C 第4速度層:250〜450m程度(新第三紀相当層)
D 第5速度層:80〜750m程度(新第三紀相当層)
E 第6速度層:不明(花崗岩相当層:地震基盤)
南北測線近傍のK4地点、K5地点についてもほぼ同様な速度層区分が得られているが、層厚についてはK4地点付近の地質分布が他地点と異なり、水ヶ森火山岩が地表から深度280m付近の比較的浅いところから分布することから全体的に層厚が薄くなる結果となった。
S波速度層を区分すると以上のような結果となるが、基本的には第2速度層と第3速度層、第4速度層と第5速度層はそれぞれ同一速度層と考えることが可能であり、地質構成から判断しても、大きく区分するとP波速度区分と同一の4層の速度層と考えることもできる。