・ ボーリング候補位置は、平成14年度に反射法地震探査を実施した南北測線上(あるいは極近傍)とする。これは、本ボーリング調査の目的の一つに、VSP探査を実施して、反射面の直接対比を行うことが挙げられていることによる。
・ ボーリング深度は500mとする。
・ 基盤岩(安山岩類、花崗岩類)を被覆する堆積岩の厚さに注目する。なお、ここで基盤岩としたものは、地震基盤ではなく、第四紀層に対する基盤という意味である。
ボーリング調査によって把握したい対象や範囲によって、ボーリング候補位置が変わることになる。ここでは、以下の2つの場合を想定した。
@ なるべく堆積層の長区間のデータを得て、かつ基盤岩も確認する。
A 堆積層のみのデータ取得のために、堆積層厚部を掘削する。
まず、@について考えた。平成14年度の南北方向の反射断面の北部の深度断面を図4−1−1−1に示す。反射の深度断面の深度精度を厳密に議論することが難しいが、仮に100mの余裕深度幅を持たせると、標高−140mの基盤岩上限位置よりは南側で、標高−240mの基盤岩上限位置よりは北側を、ボーリング候補位置の範囲として選択することができる。確実に基盤岩を把握できる点で、千秋橋付近を候補@として選定した。
この場合の問題点としては、甲府盆地西部で広く分布する黒富士火砕流が出現しない可能性が高いことが挙げられる。
次にAについて考える。
平成14年度の反射法探査の結果では、堆積層がもっとも厚く堆積していると考えられる領域は、笛吹川との交点付近である。反射深度断面にボーリング候補Aの位置(掘削深度を考慮)を加筆したものを図4−1−1−2に示す。これを見ると、500mのボーリング掘削で得られるデータは、基盤岩の被覆層の半分以下であることになる。
図4−1−1−3に、ボーリング候補位置@およびAの平面位置を示す。
表4−1−1−1に@およびAの候補地での条件や予想される結果について整理したものを示す。
以上の事前検討結果を平成15年8月4日に開催された、第一回委員会で説明を行い、@の案、すなわち荒川沿い河川敷の千秋橋付近をボーリング地点として決定していただいた。