6−1−1 地震基盤構造

南北測線について、屈折波解析から求められる速度解析を含め、反射面の検討を行った。図6−1−1に示すように地震基盤面深度(時間)は北側で浅く、南側で深くなる特徴を有しており、南北で大きく変化する。細かく見ると、国道20号線の北側620m付近(RP125付近)で0.75秒〜0.8秒程度であると考えられる地震基盤からの反射面が、国道20号線付近では0.85秒〜0.9秒付近、万才橋付近(RP185付近)で1.0秒〜1.05秒付近、笛吹川付近(RP320付近)で1.3秒付近となる。その笛吹川付近を底に、曽根丘陵側の考古博物館付近(RP350付近)では1.25秒〜1.3秒とやや浅くなる傾向が見られ、RP375付近では1.2秒付近となる。反射面はその付近から南側は連続していた反射面が見られなくなり、それ以上の反射面の追跡は困難である。これは、火山岩屑(火砕堆積物、礫、砂、泥及び泥炭を伴う)や玄武岩−安山岩火砕岩及び溶岩(泥岩及びデイサイト火砕岩を伴う)などが分布することにより、波動の透過が悪いうえに層相変化が大きかったり、各層が層構造を呈していないなどに起因していることが考えられる。このような現象は、昨年度(平成13年度)の東西測線の市之瀬断層群西側でも同様な現象が起きている。

南北測線で特徴的なのはRP125付近から北側の山梨県庁、甲府駅付近にかけての顕著な反射面である。当初はこの反射面が地震基盤に相当する花崗岩類と判断していたが、既往のボーリング調査結果から太良ヶ峠火山岩の安山岩溶岩及び火砕岩であることが判明し、花崗岩類はまだ下位であるとの現状での判断である。しかし、その顕著な反射面の下位には明確な反射面は認められないため、その時間(深度)の特定はできないでいる。

平成13年度に実施した東西測線については、図6−1−4に示すように測線中央付近では1秒付近の反射面が地震基盤基盤と考える。反射面自体も比較的、追跡が容易である。ただし、測線西側の市之瀬断層群付近(RP250)から西側と測線東側の曽根丘陵断層帯(RP800)の東側は反射面の追跡が困難である。

図6−1−5図6−1−4の反射時間断面に速度解析結果を考慮して深度断面に変換している。この結果から特徴的なのは盆地中央部でもある測線中央の速度より市之瀬断層群を含む西側と曽根丘陵断層帯を含む東側の速度が大きいため反射時間断面と反射深度断面が大きく異なる点である。図6−1−5の反射深度断面から基盤の形状を推定するとRP800(東)からRP300(西)に大きく傾斜し、RP450付近を境に急激に傾斜する傾向が認められる。深度的にはRP450からRP800は概ね深度800〜1000m程度、RP300からRP450は概ね深度1000〜1500m程度、RP200からRP300は深度1400〜1500m付近が基盤と考えられる。

図6−1−6に東西測線と南北測線の時間断面を深度変換した深度断面のパネルダイヤグラムを示す。深度断面は時間断面に速度解析結果や屈折法地震探査などの速度を考慮して変換しているため、速度の与え方で深度は変化する。そのため、今後、本調査地域でボーリング調査や速度検層等を実施されることになれば、より精度の高い結果を導き出せることになる。