5−4−2 観測微動の定常性

図5−3−2ほかのパワースペクトル図面を参照すれば明らかなように、本年度調査において取得した観測微動は、時間的定常性・空間的定常性とも全般的に良好である。

アレー直下の深部構造を反映する周波数1.0Hz以下(周期1.0sec以上)の微動については、周波数によって多少の変化はあるものの、パワースペクトルの大きさに地域性が見られる。すなわち、甲府盆地北東部から同・中央部(アレー名:K4,K5およびK6)での微動パワーレベルを基準とする場合、同・北西部から同・中西部(アレー名:K8およびK9)では約1桁小さく、同・南部(アレー名:K7およびK10)では逆に約1桁大きい。

このことは、比較的速いS波速度層(必ずしも地震基盤層とは限らない)が甲府盆地北西部から同・中西部においては浅く(厚く)分布し、同・南部では深く(薄く)分布することを示唆する。微動アレー探査独自の解析結果に基づく地殻構造については、後節5.4.5でも述べる。