(ア) S波速度900m/sec以下
(イ) S波速度900〜1200m/sec
(ウ) S波速度1200〜1500m/sec
(エ) S波速度1500〜2000m/sec
(オ) S波速度3000m/sec前後
上記において、地震基盤は(オ)層に相当する。ただし、前年度調査では池田(1998)を参照して、(オ)層のS波速度を3300m/secに固定した。
本年度調査では図5−3−4−8に示したとおり、観測位相速度の周波数帯域(特に高周波側)が前年度調査よりも拡大したため、表層付近に比較的遅いS波速度層の存在を仮定することが可能となった。そこで、上記の(ア)〜(オ)を参考にして、次の[T]〜[Z]に示すような7種類のS波速度層を想定し、フォワードモデリングにより水平7層(6層半無限)モデルを全アレー地点に対して計算(アレー地点K1,K2およびK3については再計算)する方針を採った。
[T]S波速度 500m/sec以下(前年度(ア)に相当)
[U]S波速度 500 〜 900m/sec(前年度(ア)に相当)
[V]S波速度 900 〜 1200m/sec(前年度(イ)に相当)
[W]S波速度 1200 〜 1500m/sec(前年度(ウ)に相当)
[X]S波速度 1500 〜 2000m/sec(前年度(エ)に相当)
[Y]S波速度 2700 〜 3200m/sec(前年度(オ)に相当)
[Z]S波速度 3500 〜 4000m/sec(ダミー層)
この場合、地震基盤は[Y]層および[Z]層に相当するが、[Z]層は[Y]層のS波速度の推定計算を安定に実行する目的で導入したダミー層(半無限層)であるため、以後単に「地震基盤」と記す場合には[Y]層を意味するものとする。
モデリングの際の未知パラメータは層厚およびS波速度とし、P波速度および密度は松岡ほか(2000)の提唱する統計回帰式を用いてS波速度から換算した。また、どのアレー地点でも、同じ層番号に対してほぼ同じS波速度値を示すように解を求めた。
得られた逆解析結果を、図5−3−5−1、図5−3−5−2、図5−3−5−3、図5−3−5−4、図5−3−5−5に示す(左図=位相速度の観測値と理論値との比較、右図=深度に対するS波速度分布)。また、各層下面深度(地表を基準とする値)、換算P波速度および換算密度も含めた逆解析結果を、一括して表5−3−5−1、表5−3−5−2に示す。
さらに、本年度調査の逆解析結果(再解析ぶんを含む)に基づくS波速度断面図を、図5−3−5−6(東西方向断面図)および図5−3−5−7(南北方向断面図)に示す。なお、図5−3−5−6における「K3−K2−K1」断面、および図5−3−5−7における「K1−K5−K4」断面は、前年度調査および今年度調査に実施した反射法地震探査の重合測線と平行な鉛直面に投影して描いてある。
図5−3−5−1 S波速度構造逆解析結果(上図=K1,下図=K2)
図5−3−5−2 S波速度構造逆解析結果(上図=K3,下図=K4)
図5−3−5−3 S波速度構造逆解析結果(上図=K5,下図=K6)
図5−3−5−4 S波速度構造逆解析結果(上図=K7,下図=K8)
図5−3−5−5 S波速度構造逆解析結果(上図=K9,下図=K10)
表5−3−5−1 逆解析最終結果
表5−3−5−2 逆解析最終結果
図5−3−5−6 S波速度構造断面図(東西方向断面)
図5−3−5−7 S波速度構造断面図(南北方向断面)