2−1−4 地盤特性と地震動観測

地震波伝播速度(P波・S波)などの地盤特性は、堅い岩盤や堆積層の地層境界の形状とともに地震動の解析に最も重要な地下構造情報であり、地震動予測に必要不可欠である。更に、地震動の観測により得られる記録についても、三次元の地下構造モデルの検証・評価に必要となる。

甲府盆地における地震波伝播速度に関しては、土木・建築関連を対象とした地下数10m程度のP波・S波速度データはあるとされるが、数100m以上のものは、國友ほか(1995)による爆破地震動観測、小池ほか(1998)による微動アレイ観測(4点)などで、概略的もしくは離散的にわずかに得られているのみである。

一方、地震動観測に関しては、いわゆる「地震観測」を対象とした常設の強震動観測網(図2−1−8−1参照)が甲府市街中心部と甲府盆地周辺域に配置されているが、盆地地域では年縄ほかにより2003年現在、甲府市街中心部より南に設置された10地点とK−NET4点および甲府気象台1点で観測されている(図2−1−8−2表2−1−3参照)。

表2−1−4−1表2−1−4−2に年縄による2000年以降の地震観測記録の観測状況一覧表、表2−1−5に2000年3月〜2002年6月までに観測された主な地震とその諸元を示す。

図2−1−9には2001年12月8に発生した神奈川県西部(M4.5、D=24km)の地震による甲府盆地周辺地域観測点の地震動記録とパワースペクトルを示し、図2−1−10に計測震度分布を示す。

図2−1−8−1 甲府盆地周辺地震観測点(K−NET・JMA)

図2−1−8−2 甲府盆地周辺地震観測点(年縄他)(年縄資料、2003)

表2−1−3 地震観測地点一覧表(年縄、2003)         

表2−1−4−1 地震観測記録一覧表(年縄、2003)  

表2−1−4−2 地震観測記録一覧表(年縄、2003)  

表2−1−5 2000年3月〜2002年6月までに観測された主な地震とその諸元

図2−1−9 2001年12月8日に発生した神奈川県西部(M4.5、D=24km)の地震による

      甲府盆地周辺地域観測点の地震動記録とパワースペクトル

図2−1−10 2001年12月8日に発生した神奈川県西部(M4.5、D=24km)の

      地震による甲府盆地周辺地域観測点の計測震度分布