解析に使用する周波数範囲は、空間自己相関係数の最初の極大と極小の周波数範囲から決定する。一般に、地震計間距離が短ければ極小の位置がより高周波数側になり、周波数範囲が広くなる。つまり、地震計間距離が長ければ使用する周波数範囲は狭く、短ければ広くなる。しかし、実際には、取得データの品質あるいは観測点下の地下構造により各観測点でその範囲は変化してくる。
解析に使用できる周波数範囲は低周波数側に見られる最初の極大値付近の周波数から、それより高周波数側にある最初の極小値付近の周波数までである(岡田、2001)。解析できる周波数に限界があるのは、低周波数側に関しては、周波数が0に近づくにつれて多くの場合、理論から期待される値、1に漸近せず減少する傾向があるためである。原因としては、
@ 微動信号の大きさ(パワーと呼ぶ)の低下
A ブロック長が低周波数成分を解析するには短すぎる
B SPAC法に特有のVARIANCEの急激な増加(松岡・ほか、1996)
などが考えられる。高周波数側に関しては、アレーサイズによるエイリアジングのためである。
今回の解析は、極大及び極小の位置より周波数範囲0.2Hz〜2.0Hzを使用した。
図5−13 空間自己相関係数(K1)
図5−14 空間自己相関係数(K2)
図5−15 空間自己相関係数(K3)