(2)隈元 崇・池田安隆論文抜粋(1993、地震46、245−258)

・曽根丘陵の地下構造:山地内から境界断層に向かってブ−ゲ−異常値が減少するのは、低密度層が逆断層によって山地内にくさび状に入り込んだ構造に起因すると解釈できる。また、測線北部付近でのブ−ゲ−異常値の増加は盆地北部の山地をなす基盤の影響と考えられる。

・市之瀬台地の地下構造:台地前縁部に背後山地と同じ基盤岩が観測される。こここでは低角逆断層の密度境界面の先端を台地前縁部に位置させるモデルを仮定して計算をおこなった。巨摩山地内から市之瀬台地東縁にかけてのブ−ゲ−異常値の減少の理由についても、曽根丘陵と同様に、台地の成因に逆断層運動が関与し、盆地堆積物がくさび状に山地に入り込んでいるためと考えられる。モデルの結果では市之瀬台地を横切る断面での仮定密度構造の盆地堆積物最深部は地表下約2kmとなる。山地−盆地の地形境界にも新期の扇状地面を切る断層崖が観察される。しかしこの地形境界において密度構造に顕著な変形がみとめられない。したがってこの地形境界部の活断層は、主断層から派生した副次的な逆断層、または主断層の動きに伴って生じた地滑り性の正断層であると考えられる。山地内の基盤岩と盆地堆積物との密度境界面の傾斜は約18°と見積もられ、曽根丘陵に比べて高角である。低密度の盆地堆積物は台地前縁より約5km以上も巨摩山地内へ入り込んでいると考えられる。

図2−3−2 隈元・池田による甲府盆地における重力測定位置図

図2−3−3 曽根丘陵を横断するブ−ゲ−異常と2次元密度構造解析結果

図2−3−4 市之瀬台地を横断するブ−ゲ−異常と2次元密度構造解析結果