2−1−1 地形・地質および地質構造

甲府盆地は、古い地殻活動によって陥没が生じたのち最初に火山性屑砕物の堆積を続け、その後さらに釜無川および笛吹川などの河川によって土砂が運搬され、現在を形成しているとされている。地質的には西方及び南東方をそれぞれ中新統の火山岩類からなる巨摩山地及び御坂山地に、北方を先新第三系の堆積岩やそれらを貫く中新世の花崗岩類からなる関東山地に囲まれた内陸盆地である(図2−1−1図2−1−2参照)。

東西約20km、南北約15kmの北側が広い三角形をしており、大部分が海抜高度250〜350mの範囲に含まれる。

盆地内は、後期更新世〜完新世の砂礫層に厚く覆われており、基盤の花崗岩に到達した試錐はわずかしかない。爆破地震動観測(図2−1−4)、重力探査のデータ(図2−3−2図2−3−3図2−3−4図2−3−5図2−3−6図2−3−7)からは基盤が南西方向に傾斜していることが推定され、盆地の南西部で最も深いと考えられている(図2−1−4参照、基盤P波速度が5.8km/s、深度2,000m程度)。

盆地の西部及び南部は断層により境されており、それぞれ巨摩山地及び御坂山地が衝上しているとされている。

甲府盆地周辺では、温泉を主目的とした試錐調査が多数行われているいるが、それらの掘削深度やコア鑑定の結果は公表されていないものが多く、また柱状図が存在しても地震動解析に必要な物性関連のデータ取得はされていないため、その詳細は解らない部分も多い。

既往資料による試錐結果については、盆地南西部に位置する若草町で実施された温泉試錐(掘削深度1297m)がある。それによると1002m以深は凝灰角礫岩(グリーンタフ)であるとしている。その他、石和(甲府盆地東部)の試錐では、深度795mで花崗岩が分布するとしている。

なお、1999年に糸魚川―静岡構造線の南部セグメントに区分される白州断層と市之瀬断層帯を横断する測線で浅層反射法探査が行われている。その結果によると、白州断層付近では基盤とされる花崗岩類が山側(断層西側)では表層から、盆地側(断層東側)では標高450〜500m付近(地表からの深度200〜280m付近)より認められ、市之瀬断層帯付近では、山側(西側)で標高0〜200m付近(地表からの深度350〜400m)、盆地側(断層東側)では標高−350〜−500m(地表からの深度750〜800m)付近に認められるとしている。

それらの結果から、概ね、甲府盆地北部では基盤とされる花崗岩類は浅く、南部で深くなる傾向にある。また、場所によっても異なるが、それらの上位に完新統・更新統の段丘堆積物、韮崎泥流堆積物、巨摩層群が分布するとされている。

図2−1−1 甲府盆地及びその周辺の地質図

(地質調査所:50万分の1活構造図「東京」(第2版)より引用,1997)

表2−1−1 甲府盆地周辺の地質構成

図2−1−2 甲府盆地周辺の断層系ストリップマップ

(地質調査所:糸魚川―静岡構造線活断層系ストリップマップより引用,1995)

図2−1−3  甲府盆地周辺の速度構造調査測線図

(國友、古本:爆破地震動観測による甲府盆地の地下構造,地震第48巻より引用,1995)

図2−1−4    甲府盆地の地下(速度基盤)構造

(國友、古本:爆破地震動観測による甲府盆地の地下構造,地震第48巻より引用,1995)