(1)MT探査法の原理

MT法とは、自然界で発生する電磁波(地球磁気圏や雷放電)の大地応答を利用して、地下の比抵抗構造を求める物理探査の手法である。大気と大地には大きな導電率のコントラストがあるので、大気中の電磁波は、その伝播方向には関係なく、大地に対してほぼ垂直に入射する。このような電磁波の入射に対し、地表面での観測される電場と磁場と、地下の比抵抗との間には、以下の関係がある。

式3−1−1

地下が1次元構造の場合には、水平方向の座標軸(X方向とY方向)のとり方によらずに、見掛比抵抗は一定となるが、二次元構造やさらに複雑な構造に対しては、座標軸のとり方により、見掛比抵抗は異なってくる。そのため、観測では、図3−1の測定概念図に示すように、電場の水平2成分( 及び )と磁場3成分( 、 及び )の5成分観測が行われる。また、周波数は、対象深度の目安となり、その深度(ボスティック深度)は、以下の式で与えられる。

式3−1−2

データ解析では、各測点から得た周波数別の見掛け比抵抗値に基づき、インバージョンにより地下の比抵抗構造を求める。