そのような弾性波は、図2−2−1(中図)に示すように、地層境界面を伝播しながら、絶えず入射方向とは正反対の方向で地層−1内を伝播する屈折波を伴う。地層−2の速度が著しく大きな場合には、発震点から受振点までの直接波よりも、地層−2との境界面を伝播した屈折波の方が早く受振点に到達し、初動として観測することができる。水平2層構造の場合には直接波と屈折波の走時は次式で与えられる。
オフセット距離が大きくなると、図2−2−1(下図)に示すように、屈折波の方が直接波よりも受振点に早く到達し、初動走時として観測することができる。屈折波が直接波よりも早く到達するオフセット距離の範囲は、(2.2.1)式と(2.2.2)式から、
で与えられる。
屈折法とは、このような屈折波を地表の受振器で取得して、その初動走時とオフセット距離の関係から地下の速度構造を解析する手法である。また、反射法データ処理の一環として実施する表層構造解析も(2.2.2)式に基づいている。
調査方法としては、反射法と同様に調査測線上に受振器を配置して、発震点において起振車などで振動を起して屈折波の観測を行なう。地下の深部を対象とする場合は、幾つかの発震点を調査測線上の延長部に設定し、オフセット距離の長いデータを取得するのが一般的である。
データ解析には、反射法での表層構造解析で用いたタイムターム法や速度構造モデルに基づいたレイトレーシング法などを用いる。