図2−2−6−2に反射法ショット記録例 (VP 48、国道254号線での発振)を示す。夜間、大型バイブロサイス車2台、フルパワー発振により、初動は、オフセット距離7kmまで追跡できる。上位堆積層からの反射は、1.2〜1.6秒の反射が顕著である。約0.5秒の堆積層からの反射イベントの頂点が南側にずれており、北傾斜の構造が示唆される。基盤屈折波は、不明瞭ではあるが、エンドオフセット付近の約2.8秒において確認できる。2秒以降まで反射が存在しており、基盤反射波は、往復走時2〜3秒と思われる。
図2−2−6−3に反射法ショット記録例 (VP 60、井荻駅北口の道路上)を示す。初動は、オフセット距離2km程度しか追跡できておらず、反射波も不明瞭である。当地域は、住宅密集地域であり居住者とのトラブルを避ける為に、標準として大型バイブロサイス車1台、フォース30%以下の発振を余儀なくされた。この結果、初動の到達範囲は約1〜3kmに限られ、これらのモニター記録からは1秒を超える深部反射波は確認できない。西武池袋線練馬高野台駅〜京王線八幡山駅の約8km区間はこのような発振状態が続くため、深度1km以深の反射面の連続的なイメージングは困難であることが想定される。一方、この区間の受振点状況は、測線の半分近くで裏通り、河川緑道などを使用しており、都市部の幹線道路沿いに設置する場合よりノイズが大幅に低減している。
図2−2−6−4に反射法ショット記録例 (VP 112、砧公園横の環状八号線通りでの発振)を示す。初動は、オフセット距離5kmまで追跡できる。堆積層からの反射は、2.0秒程度まで確認できる。受振測線から発振点が離れているため(オフセット発振)、初動が0.4秒から出現しており、これ以浅の反射イメージングは欠落する。一方、表面波ノイズから免れることができるため、深部イメージングについては良好なデータが得られている。今回の測線の鍵層である上総層群下部からの強反射が1.3秒あたりに出現し、測線北端の和光市でも約1.3秒であったことから、ほぼ平坦であると考えられる。
図2−2−6−5に反射法ショット記録例 (VP 147、砧公園横の区道) を示す。初動は、オフセット距離2kmまで追跡できる。堆積層からの反射は、1.5秒程度まで確認できる。
図2−2−6−6に反射法ショット記録例 (VP 149、世田谷区岡本の区道での発振) を示す。初動は、オフセット距離1kmしか追跡できない。当地域では表面波が強く励起され、バイブロサイス発振点の極周辺では比較的強い振動が伝わった。周辺は閑静な住宅地密集地で住民からの苦情・問合せが多く発生した為、発振パワー、台数を落としての作業を強いられた。結果として、SN比が小さくなりデータ品質が低下した。
今回の発振ではすべて大型バイブロサイスを用いたが、その台数、フォース、発振回数が、各地点において大きく変動した。これは、都市部における発振作業において、交通状況、苦情、舗装の状態を常時確認しながら臨機応変に対応したためである。結果的に、バイブロサイス発振のパワーの違いが存在し、反射法解析では発振記録の品質の違いに留意してスケーリング等を検討する必要があった。
反射法データ取得作業の結果、次のものが得られた。
(1)現場磁気テープ(3490E CARTRIDGE TAPE, SEGYフォーマット) 4巻
(2)同上データシート(Observers Report) 1式
(3)現場モニター記録 1式
(4)発振点・受振点座標/標高値 1式
上記(2)のデータシートは、付録2に添付した。上記(4)の受振器の座標・標高についての測量は、付録5に添付した。