ＦＮＤ地点，ＹＹＧ地点，ＣＹＤ地点における「その１調査」での解析結果と今回の再解析結果を比較して，図３−３−２に示す。また，今回実施した微動アレイ探査結果及びＦＮＤ地点，ＹＹＧ地点，ＣＹＤ地点の再解析結果から得られた速度構造と，東京都（２００３ａ）による地震探査結果及び鈴木（１９９６）による江東観測井の結果と対比し，図３−３−３に示す。

なお，「その１調査」の３地点，今回調査の３地点及び江東観測井孔口の標高差は，最大３０ｍ程度で，地下数�qを議論するには無視できることから，以下の検討は，地表からの深度で示す。

ＦＮＤ地点，ＹＹＧ地点，ＣＹＤ地点について，前回解析結果と再解析結果を比較すると，先新第三系（基盤岩）上面深度は，ＦＮＤ地点では２，５３０ｍ→２，４９０ｍ（前者が前回解析結果，後者が再解析結果，以下同じ），ＹＹＧ地点では２，５３０ｍ→２，５５０ｍ，ＣＹＤ地点では２，６９０ｍ→２，５７０ｍに変化した。また，上総層基底深度は，ＦＮＤ地点では１，５３０ｍ→１，４９０ｍ，ＹＹＧ地点では１，３３０ｍ→１，５５０ｍ，ＣＹＤ地点では１，２９０ｍ→１，５７０ｍに変化した。大局的には，再解析の結果，ＦＮＤ地点の先新第三系（基盤岩）上面深度及び上総層群基底深度並びにＹＹＧ地点の先新第三系（基盤岩）上面深度は，ほとんど変化しなかったが，ＣＹＤ地点の先新第三系（基盤岩）上面深度は，１００ｍ程度浅くなり，ＹＹＧ地点及びＣＹＤ地点の上総層群基底深度は， ２００〜３００ｍ程度深くなっている。

「その１調査」によると，ＦＮＤ，ＹＹＧ，ＣＹＤ３地点における第５層は，先第三系（基盤岩）に対比され，ＦＮＤ地点は三波川帯の変成岩，ＹＹＧ及びＣＹＤ地点は秩父累帯の中・古生層であると判断されている。また，第４層は三浦層群に対比され，第３層は，後期鮮新世の中〜下部上総層群に相当する可能性が指摘されている。

一方，第２層については，ＹＹＧ及びＣＹＤ地点では，ほぼ中部上総層群（前期更新世）北多摩層に対比される可能性が指摘されているものの，ＦＮＤ地点では，北多摩層上位の東久留米層・舎人層・江戸川層に対比される可能性が指摘されている。また，第１層については，ＹＹＧ及びＣＹＤ地点では，東久留米層及びその上位層を主体とする層に対比され，ＦＮＤ地点では東京層群及びその上位層に対比される可能性が指摘されている。

今回の対比では，第７層が「その１調査」の第５層，すなわち先新第三系（基盤岩）に，第６層が「その１調査」の第４層，すなわち三浦層群に，第５層が「その１調査」の第３層，すなわち後期鮮新世の中〜下部上総層群に対比される。第４層は，ＹＹＧ地点及びＣＹＤ地点では「その１調査」のほぼ第２層に，ＦＮＤ地点では第２層下部の一部に対比される。本調査における第４層上面は，北多摩層上面として解析していることから，本層は，中部上総層群（前期更新世）北多摩層に対比される。また，第３層〜第１層は，ＹＹＧ地点では「その１調査」の第１層に，ＦＮＤ地点では「その１調査」の第１層及び第２層に対比され，前期更新世の上総層群東久留米層及びその上位の砂・砂礫層を主体とする地層群に対比される。

各層のＳ波速度は，先新第三系（基盤岩）が３．１１〜３．３０�q／ｓ（平均３．１９�q／ｓ），三浦層群が１．５０〜１．６３�q／ｓ（平均１．５７�q／ｓ），後期鮮新世の中〜下部上総層群が０．９２〜１．０７�q／ｓ（平均０．９８�q／ｓ），中部上総層群（前期更新世）北多摩層が０．６４〜０．７７�q／ｓ（平均０．７１�q／ｓ），東久留米層及びその上位層０．０９〜０．５２�q／ｓ（平均０．３０�q／ｓ）となっている。

先新第三系（基盤岩）上面深度は，ＦＮＤ地点では２，４９０ｍ，ＹＹＧ地点では２，５５０ｍ，ＣＹＤ地点では２，５７０ｍ，ＮＡＫ地点では１，５４０ｍ，ＯＴＡ地点では１，５００ｍ，ＫＯＴ地点では１，６２０ｍを示し，ＦＮＤ地点，ＹＹＧ地点，ＣＹＤ地点及びＫＯＴ地点は，２，５００ｍ程度，ＯＴＡ地点はやや深い２，８００ｍ程度，ＮＡＫ地点さらに深く３，２００ｍ程度となっている。

上総層基底深度は，ＦＮＤ地点では１，４９０ｍ，ＹＹＧ地点では１，５５０ｍ，ＣＹＤ地点では１，５７０ｍ，ＮＡＫ地点では１，５４０ｍ，ＯＴＡ地点では１，５００ｍ，ＫＯＴ地点では１，６２０ｍを示し，全地点ともほぼ１，５００〜１，６００ｍ程度となっている。