(5)観測位相速度

空間自己相関法を適用した場合,アレイ半径rの地震計アレイから求められた空間自己相関係数は,次式に示す第1種0次のベッセル関数J0で表現される。

   Ρ(f,r) = J0(2πfr/c)

ここで,ρは空間自己相関係数,fは周波数,rはアレイ半径,c=c(f)は周波数fにおけるレーリー波基本モードの位相速度である。ある周波数に注目すると,この式における未知パラメータはc(f)のみであるために,空間自己相関係数ρ(f,r)から位相速度

c(f)が求められる。

本調査の調査地点(NAK,OTA及びKOT)毎に計算した観測位相速度を,図2−2−31図2−2−32図2−2−33に示す。各図とも,上図はアレイ半径別に求めた観測位相速度,下図は同一周波数毎の平均値をHanningウィンドウで平滑化した観測位相速度(黒実線)及び観測位相速度の推定誤差の範囲(黒色破線)を,それぞれ表す。

「その1調査」に係るアレイ平均別の観測位相速度については,東京都(2003c)に掲載した。

図2−2−34には,「その1調査」及び本調査で得られた観測位相速度を一括して示す。総じて,周波数0.15Hz〜3.85Hz(周期0.27sec〜6.90sec)の範囲で,0.21km/sec〜2.70km/secの観測位相速度が推定された。