(3)微動パワースペクトル
調査地点毎・アレイ毎に計算した微動パワースペクトルを,図2−2−19−1、図2−2−19−2、図2−2−19−3、図2−2−20、図2−2−21、図2−2−22、図2−2−23、図2−2−24、図2−2−25、図2−2−26、図2−2−27に示す。各図には,複数個のスペクトル図が示されているが,これは,観測波形からスペクトルを計算する際に,用いる全データ長を小区間(以後,ブロックと呼ぶ)に分割して計算したことによる。最終的なスペクトルは,これらブロックごとのスペクトルを平均して求められる。これは,分散が小さく精度の良いスペクトル推定量を得るためによく行なわれる手法である(日野1977)。また,Lアレイのスペクトルにおいて約1Hzより高周波数側のパワーがM,Sアレイのそれと比べて小さくなっているのは,解析におけるフィルターパラメータの違いのためである。Lアレイは主に低周波数領域の解析に用いるため,そこを強調できるフィルター操作を施してある。どの調査地点でも,各観測点の微動パワースペクトル曲線は時間帯を問わずほぼ一致した形状を示しており,微動探査法の前提の一つである「空間的・時間的定常性」が成立していることを示唆する。
「その1調査」に係る微動パワースペクトルの計算結果は,東京都(2003c)に掲載した。