2−1−1 調査地周辺の地下地質

調査地付近の地下地質について,東京都(1990)は,表2−1−1に示すように,下位から中・古生界,三浦層群相当層,上総層群北多摩層,上総層群東久留米層,舎人層,江戸川層,東京礫層,東京層,武蔵野礫層,立川礫層等が分布するとし,東京都土木技術研究所(1996)は,最新の知見を基に,更新世以降の地質について,表2−1−2に示すように,下位から北多摩層,東久留米層,舎人層,江戸川層,高砂層,東京層,段丘礫層,関東ローム層,七号地層,有楽町層等が分布するとしている。

また,東京都(2003a)は,笠原ほか(1995),千葉県(2000,2001)等を参考に,調査地の地下地質を下位から先新第三系基盤岩,三浦層群相当層,上総層群,下総層群に区分し,東京都(2003b)は,東京都防災会議が昭和49年〜昭和63年の13年間に実施した夢の島を発震点とした「首都圏深部地下構造調査」結果を引用し,東京都区部では基盤深度は約3,000mと推定し,国立防災科学技術研究所(現,独立行政法人防災科学技術研究所)による深層地殻活動観測ボーリング,東京都土木技術研究所による地盤沈下観測ボーリング等から,基盤岩(先新第三系)の上位に三浦層群相当層(中新世〜鮮新世),上総層群(鮮新世〜前期更新世),東京層群(中・後期更新世)完新統が堆積するとしている。

調査地周辺(概ね30q圏)には,図2−1−1に示すように,基盤岩へ達したボーリング孔が16孔存在している。このうち,調査地に一番近い(調査地から概ね10q程度南東)江東区青海2丁目地先 中央防波堤低内側埋立地で,防災科学技術研究所により,江東深層地殻活動観測井(以下,江観測井と称する)が掘削されている。江東観測井の詳細は,鈴木(1996)に示されている。鈴木(1996)によると,江東観測井の地質は,表2−1−3に示すように,下位から秩父累帯(中〜古生代),上〜中部三浦層群(中期中新世〜前期鮮新世),中〜下部上総層群(後期鮮新世),中部上総層群(前期更新世),下総層群江戸川層(後〜中期更新世),七号地層(後期更新世),有楽町層(完新世)からなるとしている。

関東平野周辺の基盤岩(先新第三系)の地質については,矢島(1981),矢島ほか(1986),福田・鈴木(1987),長谷川(1988),鈴木(2002)等に示されており,図2−1−2−1図2−1−2−2図2−1−2−3図2−1−2−4図2−1−2−5に示すように,北部では三波川帯,中部では秩父古生層(秩父帯),南部では四万十帯からなるとしている。