・各調査地点毎の観測位相速度を相互比較することにより,浅部(約1.7km以浅)では調査地点FND直下にS波速度の遅い層が顕著に現れ,深部(約1.7km以深)ではどの調査地点もほぼ同じ速度構造であることが予想された。この予想は,実際の逆解析結果と調和的であった。
・S波速度構造逆解析で基本モードのみを考慮して計算を実施したところ,どの調査地点でも周波数約0.3Hz以下の理論位相速度が,観測位相速度より小さくなった。これは,モデルパラメータの改良が不充分だったためというよりも,むしろ観測データに含まれる高次モード分散の影響が卓越して現れたためと解釈するほうが自然である。
・S波速度構造逆解析では,地震基盤相当層に係るモデルパラメータを安定に計算する目的で,最下部付加層を追加した。最下部付加層の導入は,高次モード分散を考慮したモデリングを行う上でも重要な措置である。