一方,図4−7−22及び図4−7−23は,平成15年度の解析結果によって地震基盤深度が大きく変わった微動観測点2ヶ所(No.16及びNo.26)について,新・旧の各物性値モデルに対応する地震波形,フーリエ振幅スペクトル,伝達関数及び位相速度を比較したものである。ここに,旧モデルとは,平成15年度でS波速度を各層ごとに平均して得たモデルを意味する。各図からわかるとおり,地震基盤深度の変化に対して,伝達関数や地震波形に大きな変化は見られない。しかし,地震基盤深度の変化が大きい微動観測点No.16では周波数0.6Hz以下(周期1.6s以上)の低周波側(長周期側)で観測位相速度との対応が改善されている。周波数1.0Hz以上(周期1.0s以下)で観測位相速度との対応が弱いのは,逆解析で求めたS波速度ではなく調査地域全体で各層ごとに平均化したS波速度を用いていることの影響である。また,微動観測点No.26では地震基盤深度の変化に対して理論位相速度の変化は小さい。
図4−7−21 S波速度構造の変化が地震波形等に及ぼす影響(1)
図4−7−22 S波速度構造の変化が地震波形等に及ぼす影響(2)
図4−7−23 S波速度構造の変化が地震波形等に及ぼす影響(3)