4−6−2 物性値モデル

微動観測点全35点の解析結果に基づいて,第1速度層〜第6速度層下面の等深線図(物性値モデル)を作成した。それらを図4−6−6図4−6−7図4−6−8図4−6−9図4−6−10図4−6−11に示す。等深線図の作成に当たっては,曲率最小化原理に基づいた内挿を行った。また,第6速度層と第7速度層の境界面を地震基盤面と想定している。物性値モデルは微動アレー探査結果だけに基づいて作成しているため,等深線図のコンターは微動観測点が配置されている調査地域内にほぼ限られる。

第1速度層下面を除いて,各速度層下面とも地質モデルと同じように,既存重力図で低重力異常が現れている豊平川付近あるいはその右岸側(白石区東米里付近)において最も深くなっており,第2速度層下面で標高−700m程度,第3速度層下面で標高−1300m程度,第4速度層下面で標高−2400m程度,第5速度層下面で標高−3800m程度,第6速度層下面で標高−5600m程度となっている。

物性値モデル各層のS波速度は,微動観測点全35点の平均値(前掲,表4−5−1)とする。ただし,第1層のS波速度の平均値380m/sに対し,札幌地域におけるPS検層結果(平成15年度成果報告書,表2−3−1表2−3−2表2−3−3参照)では,ほとんどの場合,地表付近で100m/s台,200m/s台のS波速度を示している。これは微動アレー探査が主に深部を対象にした測定仕様をとっているため,浅部における詳細なS波速度分布を把握しきれないことによる。地震被害想定のための地盤モデルとして物性値モデルを利用する場合,浅部(深度,数10m程度以浅)については別途,既存土質ボーリングデータや既存PS検層結果を収集し,それらに基づいてS波速度の推定を行う必要がある。

なお,P波速度については,平成13年度〜平成16年度調査結果及び既存調査結果から導いたS波速度とP波速度の一次関係式(前掲,式4−3)を利用して算出することとした。