この図では,オレンジ色で示した微動観測点(No.1〜No.5,No.7,No.11,No.15,No.18〜No.21,No.34,No.35の14点)のデータが,その他のコントロール点の分布域からはずれている。これを図4−2−2のブーゲー重力異常でみると,いずれも平野西縁部または西縁部近くに位置する微動観測点であり,平野中央部のコントロール点とは,平面的にほぼ区別できる。
平成15年度では,図4−2−3のデータ群に対して一つの線形回帰式で近似していたが,この14点の他データからの乖離は地質構造的に意味があると判断し,平成16年度は,平野西縁部のデータと平野中央部のデータを別々の線形回帰式で近似することとした(図4−2−4)。その際に,それぞれのデータ群を近似し,かつ両者が滑らかに接続されるように,34mgalの重力異常値コンターを境にして,回帰式が変化すると仮定し,重力異常値34mgal,地震基盤深度−3050mの点を通る直線回帰式を算出した。
ブーゲー重力異常と地震基盤標高との関係式は,次の通りである。
平野中央部 y=0.0102 x+64.5 (4.1)
平野西縁部 y=0.0198 x+94.45 (4.2)
ここに,y:ブーゲー異常値(mgal)
x:地震基盤深度(標高:m)
ただし,平成14年度反射測線南端部(高重力異常)での地震基盤深度,並びに西の里,野幌,輪厚の既存ボーリングのデータに関しては,以下に示す理由から,平成15年度と同様に計算対象から除いた。
・平成14年度反射測線南端部の高重力異常は地表付近の貫入火成岩体の影響と考えられ,本解析の前提条件(基盤の上には堆積層が存在)を満たしていないと考えられる。
・西の里,野幌,輪厚の既存ボーリングについては,本地域の地震基盤と見なす定山渓層群に達していないこと,並びに札幌市南東部の低重力異常域に位置し,地震基盤深度と重力異常の関係が札幌中央部と大きく異なると推定される。
平野西縁部の回帰式の傾きの方が大きくなっており,このことは平野西縁部では堆積層を構成する密度が平野中央部にくらべて大きくなっていることを示唆していると考えられる。