2−5−2 速度分布について

図2−5−1の解釈断面図には,反射速度解析から得られたP波速度を記入した。全体的に横方向への変化は少なく,深さ方向への変化が大きい。同一層の中でも,深いところほど速度が大きくなる傾向がみられる。例えば,当別層についてみると,測線南端から測線中央付近の深度1000m付近までは2000〜2700m/s程度のP波速度なのに対し,測線北側の1000m以深では2300〜3100m/s程度の速度となっている。

平成14年度〜平成16年度の反射速度解析から得られた各地層のP波速度を,札幌地域で実施されたPS検層や基礎試錐「石狩湾」の音波検層から得られたP波速度と併せて表2−5−2に示す。

速度解析から得られた当別層(西野層)のP波速度は,その上限値でみると既存調査よりも1000m/s大きいが,既存調査の測定深度と同じような深度範囲では,ほぼ同じような値になっていることから,この速度範囲の違いは分布深度の違い,すなわち上載圧の影響で下部では速度が大きくなることに起因していると考えられる。速度解析から得られた望来層のP波速度は,既存調査の同じような深度で比較しても,既存調査より大きな値を示している。また,盤の沢層・厚田層・奔須部都層については,既存調査よりかなり深いにもかかわらず,P波速度は既存調査とほぼ同じような範囲にある。

望来層と盤の沢層・厚田層・奔須部都層の既存調査P波速度は,基礎試錐「石狩湾」の音波検層から得られた値であり,上記の速度の違いは,望来層については岩質が異なっていることが原因の一つとして考えられる。

速度解析から得られた盤の沢層・厚田層・奔須部都層のP波速度は,深度3000m以深の深いところではほぼ4000m/s台の値になっている。既存調査でも深度2700m付近から深部では4000m/s台の値であり,同じような分布傾向を示す。

表2−5−2 反射速度解析から得られたP波速度と他調査で得られたP波速度の比較