2−2−3 発震及びデータ取得作業

発震作業は,起震車(図2−2−1)4台(標準ケース)を用いて,測線に沿った道路上,またはできるだけ測線に近い道路上で実施した。なお,測定作業に先立ち,測線中央部に位置するアクセス札幌付近の道路上でパラメータテストを実施し,スイープ周波数を8〜40Hzの範囲に決定した。パラメータテスト終了後,直ちに測定作業を開始した。

データ取得作業では,各発震に対して,測線の端では受振器10km(400チャンネル)の固定展開で,測線中央部では発震点から北方向に受振器3km(120チャンネル),南方向に受振器7km(280チャンネル)の振り分け展開または全受振点(約13km,527チャンネル)の固定展開で受振した。測定データに対し,データ伝送装置(RSU)内でデジタルデータへの変換とスイープ信号との相互相関処理を行い,本線ケーブルを通して観測車のデータ収録装置に伝送した。図2−2−2にその模式図を示す。

測定作業中は,起震車の前後に警備員を配置して,交通事故や近隣居住者とのトラブルが発生しないよう対処した。人家に近い場所や地盤状態が良くない地点などでは,振動による被害が発生しないように,起震車の台数やスイープ回数を調整した。

<震源系>

反射法地震探査の震源として使用した起震車の発震方法について記載する。起震車(大型バイブロサイス車)に搭載されたバイブレータは,制御エレクトロニクス内の発振器の作り出した基準信号(連続的に周波数が変化するスイープシグナル)にしたがって,油圧により地面に密着させたベースプレート上のピストンを振動させ,その反力により,地面に振動を与えるタイプの震源である。通常,車両に搭載され,発震点間を迅速に移動することができるので,非常に作業効率が良い。また,エネルギーを連続的な動きとして,分散して与えるので,舗装道路上でも損傷を与えることなく使用することができる。車体重量をベースプレートにかけて振動させることで,地面とのカップリング効果を高めている。受振記録に対して,スイープシグナル(基準信号)との相互相関処理を行い,発破のようなインパルス震源と同等な記録となる。