CDPギャザーを構成するトレースは,反射波の経路は異なっていても,水平構造であれば地下の反射点位置は同一であり,その走時は)式2−1の双曲線で近似できる。
ここに,T: 反射波の走時 T0 : 垂直走時=2HV/rms
H: 地表から反射面までの深度 X : オフセット距離
VrmsはRMS速度と呼ばれ,地表から反射面までの一種の平均速度である。
この原理に基づき,経路の異なった反射波をその共通反射点位置での垂直走時に変換(NMO補正)して加算(重合)することにより,測線に沿った反射記録断面図を作成することができる。加算するデータの数を重合数と呼ぶ(図2−1−4は3重合の例だが,本調査では全体として20〜50重合程度)。このような手法を共通反射点重合法と呼ぶ。この手法は次のような利点を持つ。
@反射波の走時とそのオフセット距離から式2−1に基づき,速度解析によりRMS速度を計算し,垂直走時変換補正量(NMO補正量)や隣接する地層間の区間速度を求めることができる。
A異なった経路の反射波を重合することで,多重反射などの不要なイベントを消去して,S/Nを向上させることができる。