5−4 解析結果

ア 反射断面の地質解釈

解釈断面を図5−4−1に示す。全体的にCDP100付近を中心にして緩やかに盛り上がる多数の反射面が見られる。この盛り上がりは,前掲,図3−5−3(岡,1997)の褶曲構造の分布を参照すると,ほぼ西札幌背斜の位置に当たる。CDP90付近に位置する既存ボーリング札幌R−2(掘削深度1000m)の柱状図(岡,2003)及び北海道鉱業振興委員会(1968)を参考にして,比較的明瞭な反射面を第四系基底及び当別層(西野層)基底に対比することができた。ただし,深部については反射面がさほど明瞭ではなく,反射断面のみから基盤面を確定することは難しい。

反射法地震探査解析では,石油公団(1995)のグリーンタフ上限地下構造を参考に測線西端で地震基盤(定山渓層群)の深度を2800m程度とした。再解析測線の南東端は,反射法地震探査測線西端から約1.4kmと比較的近い。そこで,再解析測線南東端における基盤深度も2800m程度とみなし,その深度付近で基盤面に対比されると考えられる反射面を抽出し,測線北西側に追跡した。その結果,地震基盤(定山渓層群)はCDP100付近を中心に緩やかに盛り上がる形状となり,そこでの深度が約2100m,測線北西端で約3000mとなった。

イ 断層

CDP90〜100付近は現地の状況で発震点が抜けているところであり,浅部での反射面の連続性が不明瞭であるが,その区間の外側で解釈した当別層(西野層)基底は,北西側が南東側よりも150m程度浅く,ずれているように読みとれる。

北海道鉱業振興委員会(1968)によれば,図5−4−2のように,札幌R−2の北側を北東−南西方向に延びる北(西)上がりの逆断層が示されている。同図には,今回の再解析測線の位置を記入した。反射面のずれが読みとれる位置はほぼこの逆断層の位置に相当し,相対的に北(西)側が上がっていることも同じことから,反射面のずれは既存文献にある逆断層と同じものと判断した。なお,再解析測線の探査が実施された時期が昭和43年(1968)とこの文献が公表された年と同じであり,その結果が逆断層を解釈した際のデータに含まれていたとは考えにくい。

既存文献に示されている断層をさらに北東側に延長すると,既存ボーリング茨戸SK−1近くを通る。3章では,反射法地震探査で検出された逆断層を,茨戸SK−1付近の逆断層の南方延長部として捉えた可能性があるとしたが,方向だけからみれば茨戸SK−1付近の逆断層が札幌R−2方向に延びる可能性もある。ただし,札幌R−2付近の逆断層が北(西)上がりに対し,茨戸SK−1付近の逆断層は南(東)上がりと逆になっている。