解析結果の図面は,上から観測波形と合成波形の比較,入力波形,フーリエスペクトルの比較,フーリエスペクトル比(観測波/入力波)と伝達関数の比較を示している。
(注;観測波形と合成波形の表示時間について。本解析では,F−Net HSS観測点の観測波を入力波として用いているため,観測点直下の基盤からの入力時間を正確に見積もることができない。そこで,合成波形の初動と合わせるように観測波形の表示時間を調整している。)
以下に,解析の結果得られた合成波の波形とフーリエスペクトルについて,観測波との比較を述べる。ただし,波形については,SH波成分の応答が卓越していると考えられるS波初動の1波に限定して述べる。
@ 札幌市震度観測点No.1,微動観測点No.16(図7−3−14)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.2〜0.8Hzの間でほぼ等しく,それより高周波側では観測波よりも多少大きい。
A 札幌市震度観測点No.2,微動観測点No.14(図7−3−15)
・波形は観測波とほぼ一致するが,振幅は,観測波に比べて小さい。
・フーリエスペクトルは,0.2〜1.0Hzの間で,全体的に観測波より小さい。
B 札幌市震度観測点No.3,微動観測点No.26(図7−3−16)
・波形,振幅ともに観測波とほぼ一致している。
・フーリエスペクトルは,0.85Hzより低周波側では観測波より多少小さく,それより高周波側では逆に大きい値である。
C 札幌市震度観測点No.4,微動観測点No.23(図7−3−17)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.8Hzより低周波側ではほぼ等しく,0.8Hzより高周波側では,観測波より多少大きい。
D 札幌市震度観測点No.5,微動観測点No.3(図7−3−18)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.2〜0.9Hzでは,ほぼ同じ値である。0.9Hzより高周波側では,観測波より大きな値である。
E 札幌市震度観測点No.6,微動観測点No.8(図7−3−19)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは, 0.5Hz より低周波側ではほぼ等しく,それより高周波側では,観測波より多少大きい。
F 札幌市震度観測点No.7,微動観測点No.20(図7−3−20)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.2〜0.8Hzではほぼ等しく,それより高周波側では,観測波より多少大きい。
G 札幌市震度観測点No.8,微動観測点No.15(図7−3−21)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.3〜0.9Hzにおいては,観測波の値とほぼ一致している。その領域より低周波側では観測波より小さく,高周波側では,逆に観測波より大きい。
H 札幌市震度観測点No.10,微動観測点No.4(図7−3−22)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.2〜1.0Hzの間で観測波とほぼ同じ値である。
I 札幌市震度観測点No.11,微動観測点No.6(図7−3−23)
・波形:6秒ぐらいまでは,観測波より多少振幅は大きいが,波形はほぼ合っている。
・フーリエスペクトルは,0.7Hzより低周波側では,観測波より大きいが,それより高周波側では逆に小さい。
J ボアホール式地殻活動観測網 MED(前田観測点),微動観測点No.2(図7−3−24)
・振幅ともに観測波との整合性は良くない。
・フーリエスペクトルは,全体に観測波にくらべて大きな値になっている。ただし,前田MEDのフーリエスペクトルは,0.3Hzより高周波側において他の地震計の記録と比較して極端に小さい。
K ボアホール式地殻活動観測網 NKN(中沼観測点),微動観測点No.10(図7−3−25)
・波形については,観測波と多少整合性はある。振幅は観測波より多少大きい。
・フーリエスペクトルは,0.8Hzより低周波側では,観測波より大きいが,それより高周波側では逆に小さい。
L K−Net HKD180,微動観測点No.6(図7−3−26)
・波形,振幅ともに観測波と良く一致している。
・フーリエスペクトルは,0.2〜1.0Hzの間で全体的に観測波より大きい値であるが,その差は,0.8Hz付近で多少大きい程度である。