4−2−3 発震及びデータ取得作業

発震作業は,起震車(図4−2−1)4台(標準)を用いて,河川敷内の作業道上で実施した。本測定作業に先立ち,測線の北端付近(Loc. No. 601)でパラメータテストを実施して,スイープ周波数を8〜40Hzに決定した。パラメータテスト終了後,直ちに本測定作業を開始した。

測定作業中は,起震車の前後に警備員を配置して,河川敷内での事故やトラブルが発生しないよう対処した。人家の近い場所や地盤状態の良くない地点などでは,振動の影響を考慮して,起震車の台数やスイープ回数を調整した。

各発震に対して,発震点から南方向に7km,北方向に1kmの合計8km区間の受振点(320チャンネル)で測定したデータを,デジタルテレメトリー方式により磁気テープに収録した。今回のように,一度に数百チャンネルの受振点で観測する場合,テレメトリー方式によるデータの収録が最も能率的な方式である。テレメトリー方式とは,各受振点の近傍に配置したデータ伝送装置(RSU)により取得データのA/D変換を行い,本線ケーブルにより,そのデジタルデータを順次,観測車に搭載したデータ収録装置(地震探鉱機)に伝送する仕組みである。図4−2−2にその模式図を示す。

<震源系>

反射法地震探査の震源として使用した起震車の発震方法について記載する。起震車(大型バイブロサイス車)に搭載されたバイブレータは,制御エレクトロニクス内の発振器の作り出した基準信号(連続的に周波数が変化するスイープシグナル)に従って,油圧により地面に密着させたベースプレート上のピストンを振動させ,その反力により地面に振動を与えるタイプの非爆薬震源である。通常,車両に搭載され,発震点間を迅速に移動することができるので,非常に作業効率が良い。また,エネルギーを連続的な動きとして,分散して与えるので,舗装道路上でも損傷を与えることなく使用することができる。車体重量をベースプレートにかけて振動させることで,地面とのカップリング効果を高めている。受振記録に対して,スイープシグナル(基準信号)との相互相関処理を行い,発破のようなインパルス震源と同等な記録となる。