・平成13年度に実施した微動アレー探査の解析結果を参照して,アレーサイズの検討を行い,本年度は二重正三角形アレーで測定を行った。アレー半径は100m(小アレー),300m(中アレー)及び800m(大アレー)とした。二重正三角形アレーとした理由には,三重正三角形アレーよりも好条件の観測点位置を確保しやすいという利点もあった。
・観測点を比較的ノイズ条件が良好な場所に設定できたので,観測は基本的に昼間に実施した。そのため,観測点により交通ノイズの状況などの条件が異なるものの,概ね良好な記録が取得できた。また,ノイズ状況が厳しかったNo.25については,スペクトル解析の際のパラメータを工夫することによって解析可能になった。最終的に全9観測点の位相速度を得ることができた。
・解析で得られた位相速度から,個体群探索分岐型遺伝的アルゴリズム(fGA)を用いて各観測点におけるS波速度構造を推定した。
・さらに,平成13年度の21観測点も加えた全30観測点のデータを用いて,3次元的なモデルを構築するためのモデル解析を行った。その際,各観測点で得られたモデル同士の対応が容易になるように,探索範囲を制限した逆解析を行った。
・その結果,探索範囲を制限したことにより,残差が系統的に拡大されて観測位相速度を説明できなかった観測点は特に見られず,これらのモデルで3次元S波速度構造が推定できると考えられる。