平成13年度調査では,三重正三角形アレーを用いた。三重正三角形アレーは,二重正三角形アレーと比較して,観測効率が良いこと,見かけ上のアレーサイズすなわち相関距離がより多く(9通り)とれること,など有利な点がある。しかし,一方で,10ヶ所で観測条件が同じになるように観測点を選定すること,また,都市部などでは観測点が上手く選定できても,その中には交通ノイズや,そのほかの人工ノイズが高いところが含まれ,「空間定常」を乱す。このようなアレーは避けなければならない,という不利な点もある。
郊外地域に観測予定地点の多い本年度の場合,事前調査で,全ての観測予定地点それぞれで,その数の観測点を選定することが極めて困難であるか,または一部ノイズ条件が良くない場所が含まれることが分かった。
以上のような理由により,本年度は図3−3−3に示す二重正三角形アレーで観測を行うこととした。先に述べたアレーサイズの検討結果を参照し,実際のアレー半径は100m,300m,800mとした。つまり3種類の大きさの異なる二重正三角形アレーである。それぞれ小アレー,中アレー,大アレーと呼ぶ。
実際の観測点設置では,予め地図上で予定観測地点に二重正三角形の中心を定め,それを中心とする円周上に仮の観測点をマークする。次いで,現地に赴き,構造物や立入禁止場所及び水上の場所などを避け,裸地やアスファルト道路,コンクリート舗装の場所を探し出した。このようにして,前述の条件を7点全てが満たすような観測点を定め,図3−3−3に示す二重三角形アレーを構成した。