6−2−3 3次元地下構造モデル(第1次)

上述したように,本年度の3次元地下構造モデル(第1次)の作成に当たっては,微動アレー探査によるS波速度構造モデルを基本に,ボーリングデータおよび既存反射法地震探査結果を考慮した。重力解析結果に関しては,5章の重力解析で述べたように,微動アレー探査結果から推定される断面図を基に重力解析を行うと,平野側ではブーゲー異常の観測値と計算値が比較的よく一致するが,山麓域では一致せず,ブーゲー異常から基盤の深度や形状を反映させるための傾向面解析による補正処理なども検討する必要がある。今後,平成14年度以降に実施される反射法結果,重力解析結果も加味して3次元地下構造モデルの検討・作成を行う必要がある。

前節で検討したように,微動アレー探査結果によるS波速度構造モデルにおいて,最下層は地震基盤とされる定山渓層群であると判断された。このS波構造モデルに,定山渓層群および隈根尻層群に到達している既存石油関連ボーリングデータ,既存反射法地震探査結果から求められているグリーンタフ(定山渓層群)上限地下構造図(等時間線図)から深度を想定して作成したデータとを追加し,地震基盤の等深線図を作成した。等深線図作成に当たっては,曲率最小化原理に基づいた内挿を行った。地震基盤等深線図を図6−7に示す。また,等深度データから,地震基盤上面の3次元地下構造モデル(第1次)の鳥瞰図を作成し,図6−8に示す。

地震基盤上面の形状は,調査地域北東部にあたる大平〜元町〜中沼で,深度3,000m強を示している。その南東部では深度が深くなり,最深部が東米里で深度4,000m強となる。調査地域西側では南西方向に向かって浅くなり,深度2,000m以浅となっている。次年度以降,反射法地震探査が実施され,重力データに対する傾向面解析などの検討が行われれば,より精度の高い3次元地下構造モデルを構築していけると期待される。