@単純に重力2次元解析を行った結果では,ブーゲー異常の観測値と計算値が一致せず(図5−2,図5−3),観測値と計算値を一致させるように解析すると,「基盤岩」に相当する密度2.60の地層が,琴似付近で地表直下に分布することになり,想定されている地質構造と一致しない(図5−4)。
A微動アレー探査結果から推定される断面図を基に重力解析を行った結果では,断面西側を除いてブーゲー異常の観測値と計算値が比較的よく一致する(図5−5)。
B図5−5の地質モデルの東側を一部修正して,解析を行ったところ,断面西側でブーゲー異常の観測値と計算値が合わないのはAと同じであるが,東側では,若干,観測値と計算値との不一致の度合いがAより大きくなった(図5−6)。
ブーゲー異常の観測値と計算値の不一致が見られる断面西側は,微動アレー探査結果と地質断面図でも不一致が見られる。これらの推定モデルに関する検討の他に,札幌市域でブーゲー異常から基盤の深度や形状の概略を把握するための解析方法も検討する必要がある。今回の解析結果からは,ブーゲー異常値に基盤の形状とは無関係な大きなトレンド(超深部の影響)が含まれている可能性が高いことも考えられるので,傾向面解析による補正処理も検討する必要がある。その際には,次年度以降予定されている追加微動アレー探査,反射法地震探査結果等と合わせて,検討する必要がある。