3−5−8 逆解析モデルの精度に関する検討

微動アレー探査で推定されたS波速度構造モデルは観測から得られた位相速度を,うまく説明できる。ここでは,今回得られたS波速度構造モデルが,観測から得られた位相速度をうまく説明できる範囲で,どの程度変化可能か検討するために,本調査の目的である地震基盤相当の最下層におけるS波速度と深度に関して感度分析を行った。まず,前述の解析によって得られたS波速度構造を最適解と見なし,感度分析は,その最適解の,あるパラメータを若干変化させたときに位相速度にどの程度変化が現れるかを見ることによって行った。ここでは,いろいろあるパラメータの中,最下層の深度とS波速度を選んだ。これは,この種の探査法では逆解析された最適解の最下層については唯一性(ユニークさ)の判断が最も難しいと考えられるからである。今回は,推定S波速度構造の最下層深度を±500m,±250mまた,最下層S波速度を±500m/s,±250m/s変化させたときのS波速度を持ったモデルを作成して,そのレイリー波理論位相速度を比較した。それらを図3−18−1図3−18−21に示す。その結果,観測点No.12,No.16を除く,ほぼ全ての観測点で構造変化に対する理論位相速度の変化が認められた。変化が認められた観測点では,図で明らかなように観測から得られた周波数範囲の位相速度をうまく説明できるモデルは上記のパラメータ変化を超えることはない。最適解のS波速度構造の最下層の推定精度は,深度については±250m以内,S波速度については±250m/sに収まるのは確かである。観測点No.12,No.16については推定精度が悪いといえる。この観測点については,より低周波数成分の信号を測定,解析する必要がある。

図3−18−1図3−18−2図3−18−3図3−18−4図3−18−5図3−18−6図3−18−7図3−18−8図3−18−9図3−18−10図3−18−11図3−18−12図3−18−13図3−18−14図3−18−15図3−18−16図3−18−17図3−18−18図3−18−19図3−18−20図3−18−21