(1)既存PS検層結果と微動解析によるS波速度との比較検討
微動アレー探査位置付近にPS検層結果のあるNo.2,7,10,17観測点では,既存PS検層結果と微動解析によるS波速度を比較した。それを図3−16−1、図3−16−2に示す。具体的には@直接S波速度構造での比較(図の左側),一方,内容としては同じであるが,A位相速度での比較(図の右側),である。S波速度構造に関しては浅部(500m程度)のみであるが,微動アレー探査による構造とPS検層結果は,構造の分解能の点を除けば比較的よく一致している。位相速度に関しては両者のカバーする周波数範囲が異なる。すなわち,微動アレーの位相速度は基盤構造の把握を目的としているため0.2〜1.5Hz程度,PS検層のものは浅部を対象としているため0.8〜2.0Hz程度という違いがある。そのため,同などの比較は難しいが,両者共通な周波数帯に注目すると,両位相速度は,比較的よく一致している。これよりPS検層によるレイリー波基本モードの理論位相速度から微動アレーによる解析で得られた位相速度にスムースに繋がっていくものと考えられる。ただしNo.7観測点では位相速度の形状は類似しているものの位相速度の変曲点周波数が異なっている。すなわち,微動アレーで1.2Hz程度,PS検層で1.5Hz程度である。これは,微動アレー探査位置と検層ボーリング位置とが同一でないことによるものと考える。すなわち表層の層厚の違いによる相違であろう。以上の考察により,PS検層からも微動データからも,ほぼ同じ速度構造が得られた。ここでは浅部に限られるが,微動解析の妥当性を検証することができたと考える。