3−5−4 解析位相速度

図3−11に例としてNo.8観測点における解析位相速度を示す。以後,図面上では速度単位としてkm/s,深度の単位としてkmを用いる。上図は統合前の各相関距離に対してρ−fの関係から求めた位相速度,下図が周波数別にρ−fの関係から最小二乗近似から求めた位相速度である。上図では,先の空間自己相関係数の説明で述べたように,解析できる周波数範囲のデータのみを示している。解析された位相速度は,アレーサイズが異なると低周波数側で位相速度が異なった値を示している。このように,ある周波数に着目するとアレーサイズが小さいと位相速度が小さいという系統的な差異として現れる。これは,上節(空間自己相関係数の節)で指摘した@,A,Bに起因する差異である。図3−12に,全観測点における解析で得られた位相速度の分布をまとめたものを示す。波線で表示したものは調査地域の西側にある観測点(No.1,3,4,11,14,15,18,19,20,21)におけるもので,実線で表示したものは,その東側の観測点におけるものである。この図から,解析で得られた位相速度の分布が調査地域の西側におけるグループと東側におけるグループに二分されることが分かる。調査地域の西側は,ほぼ山麓域に相当している。