3−5−2 スペクトル
スペクトル解析に際して((4)ア)の前処理で述べたように大アレーは5Hz,小アレーは10Hzのリサンプリングを行った。また,解析の際のブロック長は,大アレーについては819.2s,小アレーについては409.6sで,どちらも4096(212)サンプル数での解析とした。それぞれ,ブロック間には2.344%の重なりを設定した。各ブロックの端には余弦関数(cosine)型の重み関数(Taper)を乗じてデータが突然切れることによるスペクトル解析への影響を軽減した(日野,1977)。スペクトル計算にはFFT法を用いた。ただし,FFT法を用いて推定したスペクトルは,分散が大きくなる性質を持っている(日野,1977)のでParzenウィンドウによるスムージング操作を行った(大崎,1988)。ウィンドウ幅は9.766x10−2Hzとした。図3−9に例としてNo.8観測点におけるパワースペクトルを示す。全観測点では,パワースペクトルは観測日によって変動するものの,ほぼ100〜102 (×10−12m2/s)の範囲に分布し,解析には十分な微動エネルギーが測定できたと考えられる。スペクトルの形状も,ほぼ揃っており,表面波信号の解析に必要な空間定常の条件が満たされていると推定される。