2−4−4 その他
石油公団(1995)による基礎試錐「石狩湾」でVSP探査が行われている。その深度−時間変換曲線より得られた深度−時間対応関係を表2−5に示す。また,基礎試錐「石狩湾」では,各種検層が行われている。それを図2−28−1に示す。ここでの検層の内,弾性波速度に関する検層は音波走行時間であり,密度に関する検層は見かけ密度である。音波走行時間を速度に変換し,密度とともにまとめた図を図2−28−2に示す。また,表2−6にボーリング試料を用いた弾性波速度測定結果を示す。ボーリング試料の測定結果を用いて検層,VSPから推定したP波速度よりS波速度を推定すると,第四系650m/s,当別層・望来層950m/s,盤の沢層〜厚田層1850m/s,奔須部都層上部2300m/s,奔須部都層下部および定山渓層群3000m/sと考えられる。したがって,地震動解析の「基盤岩」(S波速度>3q/s)は,奔須部都層下部礫岩層あるいは定山渓層群であると判断される。以上の解析で得られた,各地層区分における速度を表2−7にまとめて示す。表中,ソニック検層(P波速度)は,図2−28−1、図2−28−2の弾性波速度関係検層図から平均的な値を読みとったものである。VSP(P波速度)は,表2−5の深度−時間変換曲線より得られた対応関係から計算した値である。推定S波速度は,表2−6を用いてP波速度からS波速度を推定したものである。これらの弾性波速度情報は,反射法地震探査などを行ったときの参考情報として用いることができる。ボーリング位置が調査地域より離れているので,微動アレー探査のアレーサイズ設定には用いることができないが,逆解析や解釈の際には有用な情報となる。また,図2−28−1、図2−28−2から読みとった密度情報は,重力解析の際に用いることが可能である。札幌地盤震動研究会(1999)は,札幌市内および石狩市内に掘削されたやや深いボーリング孔においてPS検層を実施している。表2−8に示すように,そこで得られた深度500m程度までのP波速度,S波速度は,各種物理探査結果の評価,解釈に用いることができる。