2−4−1 反射法地震探査・屈折法地震探査

石狩平野北部地域には,石狩湾沿いに石狩,茨戸などの油田が開発されていた。表2−4は北海道鉱業振興委員会(1968),北海道鉱業振興委員会(1979)をもとに作成した石油関連の反射法地震探査の実績である。測線配置,測定仕様などは不明であるが,実施年代から,主としてアナログ探鉱器システムで測定されたデータではないかと推察される。これらの調査結果は未公表である。

吾妻(1962)は,石狩低地帯およびその周辺で実施された石油探鉱により把握された地下構造を紹介している。図2−16に示すように,反射法地震探査は真駒内,手稲,琴似,江別,石狩付近でも一部実施されており,図2−17の地下構造図が示されている。実施年代から,アナログ探鉱器システムで測定されたデータと推察される。

岡ほか(1992)は,「江別市の地質と温泉資源」報告書を作成し,既往の反射断面や解析断面を引用している。図2−18に反射法地震探査測線などの位置図を示す。1970年北海道委託SK当別−岩見沢地震探鉱当別南部測線解析断面(図2−19)では,太美背斜と金沢背斜間で地表下1,800mに達する反射面が示されている。また,茨戸油田横断中央測線地震解析断面(図2−20)も示されているが,明瞭に解析された反射面は少ない。

石油関連以外では,笹谷ほか(1998),中野ほか(2000)は,図2−21に示すように,札幌市手稲地区において反射法地震探査を実施している。反射断面では深度850m付近までにほぼフラットに分布する四つの主要な反射面が検出されており,最深部の新第三系豊羽層群小樽内川層までが解釈されている。

浅野ほか(1989)は,文部省科学研究費で実施された「地震動予測精密化のための地下深部構造の研究」の中で,バイブロサイスによる反射法地震探査の結果を報告している。実施場所は,札幌市の南東に位置する長沼町である。測線は石狩低地帯から馬追丘陵にかけて設定され,図2−22に示すように,深度2.7km程度までの範囲に鮮新世基底(荷菜層基底)や中新世中期,平取,軽舞層の基底付近などに対応すると考えられる反射面が解析されている。また,吉井ほか(1989)は,北海道南部地域において行われた大規模発破屈折法地震探査の結果を紹介している。図2−23の1969年積丹爆破・手稲爆破の地下構造では,測線の東南端の深度約4kmに,P波速度が4.0km/sの表層から5.9km/sの層(花崗岩質層)へ変わる境界が推定されている(測線位置は図2−22参照)。