3−5 重力探査データ

重力探査では、ブーゲー異常値をもとに、基盤岩をおおう堆積物の密度を仮定することによって、基盤岩上面の相対的な深度分布を推定することができ、深層ボーリングや反射法地震探査結果などと併せて、基盤岩深度分布を広域的に推定することができる。図3−7は探査より得られたブーゲー異常分布図(堀川ほか、2002)である。ブーゲー異常は、地下の物質密度の過不足を表すため、ある一定の密度値を仮定し、既知の基盤岩深度情報をもとに補正を加えることによって基盤岩深度分布を推定することができる。推定された基盤岩上面の標高分布図を図3−8に示す。

図3−7 ブーゲー異常分布図(仮定密度:2.67g/cm3)

図3−8 重力探査結果をもとに推定した基盤岩標高分布図

図3−8には前項で示した微動アレイ探査結果を、重力探査より推定した基盤岩標高と同じ色調で示している。図に示されるように、重力探査結果をもとに推定される基盤岩深度分布は、微動アレイ探査より推定されるS波速度3km/s以上の基盤岩深度とは、必ずしも整合しない部分が見られる。とくに、有馬高槻断層帯南側の陥没帯地域(R)、千里丘陵(Q)、大和川南部(I)などでは、微動アレイ探査結果がいずれの地点においても深い基盤岩深度を示す。これらの原因としては、急変する基盤岩構造(R)や、基盤岩上に局部的に分布する第三紀層(Q)などが影響している可能性が高いが、その詳細は未解明である。