大阪平野周辺の丘陵上とその縁辺部には、図2−2に示したように、段丘堆積層が分布し、地形平坦面が形成されている。段丘堆積層及び段丘面は、その形成時代が古いものより高位、中位、低位に区分されている。
図2−2 大阪平野の地質図(市原編、1993)
高位段丘は平野南部では信太山〜狭山池の泉北丘陵北縁部、東部では寝屋丘陵の丘陵頂部などに発達する。中位段丘は南部では狭山池を扇頂部として、北方に開いた扇状地状の地形面を持ち、広範囲に平坦面が発達している。その北側の一部は帯状に細長く大阪低地に突き出しており、上町台地を形成している。さらにこの中位段丘は北側の枚方付近でも広い平坦面を形成して発達している。低位段丘は伊丹・富田に広く発達しており、特に伊丹付近の段丘面南縁部は段丘崖を形成せずに沖積面下に没している。
大阪平野周辺の山地のうち、北側の北摂山地は丹波帯の中・古生層から構成される。東側の生駒山地は、主に中生代白亜紀に形成された領家花崗岩類、南側の和泉山脈・金剛山地は北部が領家花崗岩類、南部に白亜紀に形成された泉南流紋岩類や和泉層群が分布する。これらの基盤岩は、大阪平野においては地表から約600〜1500mの深さに分布する。周辺の山麓部には、有馬・高槻断層帯や生駒断層などの活断層が存在し、低地部と山地部との明瞭な境界をなしている。平野部の地下には大阪層群と呼ばれる約300万〜20万年前に堆積した鮮新・更新統に属する地層が厚く分布しており、平野周辺の丘陵部にはこの大阪層群が地表に露出している。これらの丘陵地域は、第四紀後半に発生した六甲変動最盛期にそれまでに沈降域だった部分が隆起した結果として形成されている。そのため、丘陵の縁辺に存在する断層の変位によって、その付近の大阪層群は部分的に急傾斜する構造(撓曲)が見られる。また、丘陵地域に露出している大阪層群は、図2−3に示すように、平野の地下へ連続して分布していることが深層ボーリングによって確認されている。
図2−3 大阪堆積盆地の東西地質断面図(市原編、1993)
平野の中央付近を南北に延びる上町台地では、その西縁部には上町断層と呼ばれる活断層が確認されており、台地の西側の低地部とは地層が大きく食い違っている。近年の研究により、上町断層は北部の千里丘陵に見られる佛念寺山断層に連続し、また平野南部の泉北丘陵にも連続していることが明らかとなっている。
大阪層群は、未固結の砂礫、砂、シルト、粘土等の互層より構成されており、その下半部は砂礫主体の淡水成の粘土、シルト、砂、砂礫の互層よりなり、上半部は海成粘土層と淡水成の砂礫層の互層などよりなっている。海成粘土層は下部より、Ma−1、Ma0、Ma1〜Ma10のように番号が付けられて細分されている。これらの海成粘土層や大阪層群中に挟まれる火山灰層は、地層の堆積年代や連続性などを決定する上での重要な鍵層として利用され、表2−1に示すような、大阪平野地域の地質が明らかにされている。
表2−1 大阪層群の総合層序表(高橋、1999)