表6−3 基盤岩の速度構造
図6−17から、現状のモデルでは以下の点が上げられる
@ 各観測点とも、1次元的な構造が大きく影響するS波初動付近から10秒程度までの波形は比較的良く一致しており、S波の速度構造としては、まず妥当なモデルになっていると考えられる。
A 尼崎(AMA)や福島(FKS)、森河内(MRG)、弥栄(YAE)などは後続の波形まで比較的よく一致しており震源からこれらの地域に影響を及ぼす構造はまず表現されていると考えられる。
B 忠岡(TDO)、豊中(TYN)の波形はよく一致している。これらの観測点は基盤岩深度が浅く、長周期の表面波の影響を受けていないためと考えられる。
C 上町断層の近傍にある大阪市大(OCU)、堺(SKI)は後続の波群は合わない。OCUは位相のややずれた位置に盆地端によって生成したと考えられる後続波が見られており、モデルの基盤岩の速度が遅い可能性はある。しかし、SKIはS波到達後10秒程度から全く一致しないことから、後続波を生成させる構造が表現されていない可能性が高い。
D 茨木白川(SRK)の後続波はモデルの修正後過大に評価されている。生駒断層北部の構造を大きく変えており、これが影響したものと考えられる。
図6−17 3次元シミュレーションによる観測と解析の速度波形比較
図6−18 3次元シミュレーションによる地表面のスナップショット