6−5−3 3次元地盤モデルの改良

本調査においては、平成14、15年度に実施された反射法地震探査結果で得られた基盤岩構造などを考慮して、上述した産業技術総合研究所によって作成された3次元地盤モデルの改良を試みた。改良に際しては、探査で明らかとなった各地域の基盤岩深度を反映させるとともに、これまでの探査で明らかとなった新たな知見を地質構造に反映させて、その結果をもとに、モデルの再構築を行った。旧モデルと改良したモデルにおける基盤岩構造を示すと図6−15のとおりであり、各モデルにおける基盤岩深度の相違を図6−16に示す。

以下に、モデルの改良に反映させた地質構造のおもな特徴を列記する。

@ 大阪平野北東部において、生駒断層の北部への連続性に関しては、反射補探査結果(高槻測線)と、重力探査結果より推定された基盤岩構造の再検討結果を踏まえて、高槻測線以北においては、北東方向に偏向して連続する構造とした。

A 平成14年度に実施した枚方測線と高槻測線の探査結果をもとに、枚方撓曲を境として、断層の上盤側で深く、下盤側で浅く修正している。

B 茨木測線(平成14年度実施)において確認された有馬高槻断層帯南側における基盤岩の陥没構造に関して、探査結果をもとにモデル化に反映させた結果、陥没帯底部の基盤岩深度は以前より深く修正されている。

C 大和川南測線で明らかとなった基盤岩構造をもとに、これまで推定されていた大和川南部の重力異常による小丘状の構造を修正した結果、基盤岩深度は以前より全体的に深くなっている。

D 大和川南測線南部の地表で確認されている羽曳野撓曲は、探査測線付近においても存在するものとするが、基盤岩上面においては断層構造としていない。

E 生駒断層の南方延長部における地質構造は、大和川南測線の探査結果をもとに、生駒山地西縁の基盤岩落差としては、生駒断層の西側に存在する誉田断層が大きくなるように修正した。

F 大阪湾岸第2測線における探査結果より、重力探査結果より推定されていた湾岸部における重力異常域は、地質構造としては従来と同様に存在するものとしたが、基盤岩深度構造については、探査結果をもとに修正を加えた。

G 大阪湾岸第2測線の北部に推定された断層は、泉北・泉南丘陵地域における既存の地質情報を考慮して、その連続性は南北方向を示すものと仮定してモデルの修正に反映させた。また、探査より推定された断層構造の下盤側における基盤岩構造をモデルに反映させた結果、大阪湾岸第2測線の北部地域においては全体的に基盤岩深度は深くなっている。

図6−15 平成14、15年度探査結果を踏まえて改良した基盤岩深度構造モデル図

図6−16 基盤岩深度差分布図(従来モデル〜改良モデル)