水平2層構造の場合に観測される初動走時の例を図5−3に示す。一般に深度が大きくなると弾性波速度も大きくなるため、発振点と受振点の間隔が大きくなると、地下浅部を伝播してきた振動より、地下深部を伝播してきた振動の方が早く到達する。同図に示すように、走時曲線の傾き、傾きが変化する発振点からの距離、及び切片等の大きさは、速度値や速度層の厚さに関係している。これらの情報から地下の速度分布を推定することができる。現在では、同図に示すような図式解法によらず、後述するX線CTスキャンに代表されるトモグラフィ手法の利用により、高い精度で地下の速度分布を推定する。