(1)トレース編集、解析測線の決定、ジオメトリの設定及びCMPソート

ノイズが卓越する波形データ(以下「トレース」という)等の不良トレースの除去、同一の発振点受振点の組で重複して収録したトレースの整理等の編集を行った。

続いて、発振点と受振点の収録組み合わせ及びそれらの測量データから、発振点と受振点の平面的な中間点を算出すると共に、それらの分布から「解析測線」を決定した。

解析測線の具体的な決定方法を以下に記す。発振点と受振点を配置する際の基準となる「調査測線」が直線でない場合、発振点と受振点の中間点は調査測線からずれ、調査測線の周囲に分散する。これら分散した中間点を適宜区間分けし、区間内の中間点について最小自乗法を用いて分散している中間点の傾向に合致する、すなわち中間点の分布を代表する曲線を定め、これらを連結することにより解析測線を求めた。なお、このようにして求めた解析測線を先の図4−3に示した。

次に、分散する中間点を上で算出した解析測線上に投影し、解析測線上において測点間隔の半分(10m)を単位とした区間分けを行い、中間点が同じ区間に属するトレースを集め、図4−14に概念を示すCMPアンサンブルを作成する。なお、図4−14の左図は収録するトレースを模式的に表したもので、縦軸が時間、横軸がオフセット−発振点と受振点の間の距離−を示す。右図の「発振点1」で発振し、「受振点1」で収録したトレースを左図の「オフセット1」に、「発振点2」で発振し、「受振点2」で収録したトレースを「オフセット2」に示した。また、右図に示すように、地表の発振点で発生した弾性波が下方に伝播し、地下の地層境界等の点「A」で反射して上方に伝播し、地表の受振点で収録される時間を、左図のそれぞれのトレースに「共通反射点Aからの反射波」として示した。CMPアンサンブルは、地下の構造を水平成層構造と仮定し、同じ反射点(右図の場合は点「A」)を有するトレースを集めたもので、地表面で考えれば、発振点と受振点の平面的な中間点を共通とするトレースを集めたものに相当する。後述するNMO補正処理により、オフセットの違いによる反射波の到達時間を補正し、同じ反射点からの反射波を足し合わせてSN比を高め、地下の反射点や反射面をイメージする。

次に、すべての収録トレースをCMPアンサンブル毎に並べ替え(CMPソート)すると共に、トレースとCMP番号、発振点番号、受振点番号、及びそれらの座標等を対応づけるテーブルを作成した(ジオメトリの設定)。

図4−14 CMPアンサンブルの概念