2−4−3 <大阪平野南部>

この地域は大和川流域及び湾岸部に人口が集中しているが、上町断層近傍を除くと地質情報が少ない地域である。唯一の広域地質情報は重力探査結果であるが、それによるとこの地域には重力異常値の高い目玉状の部分が、JR堺市駅東側と堺泉北港の2ヶ所に認められる。しかし、その地質構造についての明確な解釈は行われていない。また、この地域において解明すべき地質構造上の問題点としては、地質調査所が堺市浜寺付近で実施した反射法探査(堺第2測線)において上町断層のさらに西側に見られた撓曲構造や上町断層の南端、さらには誉田断層と生駒断層の関係と周辺の地質構造などが挙げられる。

以上にまとめた大阪平野における地質構造特性、人口集中度などの社会的特性及び反射法地震探査が実施可能と推定される道路条件(道路幅員、交通状況等)などを踏まえて、図2−8表2−5に示すような平野全域を対象とした全体調査計画案を想定した。

図2−8 大阪平野地下構造調査の全体調査計画案

表2−5 全体調査計画案一覧表

図2−7に示す大阪平野及び周辺地域における反射法探査やボーリング調査などの既存資料の分布状況や、前述の全体計画と平成14年度に実施した反射法探査結果などを踏まえて、現時点での大阪平野における重点調査候補地域は平野の南部地域である。とくに、大和川南部および堺泉北港付近において重力探査より推定されている基盤岩の単独丘構造の解明は、大阪平野南部における地質構造を想定する上で重要と考えられる。

以上より、平成15年度における調査対象地域として、大阪平野南部地域で図2−9に示す大和川南測線と大阪湾岸第2測線において反射法地震探査を実施した。

図2−9 大阪平野及び周辺地域におけるおもな既存資料分布図